2008年12月16日火曜日

役物(やくもん)って何?





なにわ花いちばのホームページには、松市、梅市、千両市の画像が「役物市2008」として紹介されています。


この「役物」って何?


キク、バラ、カーネーションなどの切り花は、年中いつでも市がたち、せりがおこなわれています。


しかし、松や千両などの迎春商品は年に1日しか市がたちません。


なにわ花いちばでは、松市は12月4日、千両市は12月14日でした。内容はホームページの画像をご覧下さい。
1日だけの市ですので、生産者はもとより、花屋さん、市場など関係者それぞれ緊張したせりになります。
この松や千両を「役物」、その市を「役物市」とよんでいます。

「役物」という言葉は、一部の業界用語のようです。まず、広辞苑などの辞書には見あたりません。
yahooやGoogleで検索すると、いろいろな業界で使われている専門用語ということがわかります。

①建築用語:屋根の端部分の収まりのために使われる部材。瓦葺きなら、軒瓦、鬼瓦など
②土木用語:普段使わない特殊な部材
③印刷用語:文字、数字以外の普段あまり使わない活字の総称
④パチンコ用語にもあります。釘、チューリップ以外の玉を干渉するしかけをいいます。

肝心の花用語としては見あたりません。
京都生花の名物ブログ「近藤でございます!」に、「役物市」が紹介されているだけです。
他の業界用語から推察すると、普段は使わない特殊なものをさすようです。
松や千両は、普段は使わない、特殊な商品という意味でしょうか。

さらには、迎春という大きな役を担う、重みがある商品という意味も込められているようです。
そういえば、松市、千両市には普段、せりをしない奥田芳彦部長、大西常裕部長がせりをしていました(写真の上が奥田部長、下が大西部長)。まさしく普段には見られない、大きな役を担う「役物」ですね。

ところが、「役物」は、どうも関西だけの地域限定用語のようです。
東京の大田花きや愛知の豊明花きでは「それ何」って感じです。では、西日本の花用語かというと、広島の花満でも使っていません。

ところで、役物の語源となっている「普段は使わないもの」という売り方では、もったいないのでは。
若い人にとって、千両は赤い実がきれいな切り花で、お正月に限定する意味が理解できないでしょう。葉ボタンもかってはお正月用でしたが、今では洋風の切り花として秋から春まで使われています。

すこし仕掛けがいります。
名前を変えるだけで、生まれ変わります。
「おとぎりそう」というと山野に生えている宿根草ですが、「ヒペリカム」と名付けると、たちまち洋風の切り花になります。「トベラ」では雑木ですが、「ピットスポルム」では、珍しい枝ものになります。「金盞花(きんせんか)」では仏花ですが、「カレンジュラ」では洋風切り花です。
迎春用には「千両」、赤い実がきれいな冬の切り花としては学名の「サルカンドラ」ではいかがでしょうか。
2008年を代表する漢字は「変」です。