2009年7月1日水曜日

日本列島「ボト」注意報

梅雨真っ盛りは「ボト」の季節です。

「ボト」は、かびの一種ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)を縮めた業界用語です。

病原菌がかびである「ボトリチス・シネレア」菌、病気の名前は「灰色かび病」です。

褐色に変色した花びらや葉から、症状が進むと灰色のかびが生えてきます。

それで灰色かび病と名付けられました。

                   生け花中に発生したバラのボト


                 生け花中に花首に発生したトルコギキョウのボト

                  入荷時にボトが発生していたカーネーション
                     葉にボトが発生したデルフィニウム


このボトリチス・シネレア菌による灰色かび病の特徴は次のとおりです。

1.あらゆる作物のやっかいな病気で、どの花も感染します。

2.食べ物が腐るときに生えてくるかびと同じ仲間です。

3.多湿、特に梅雨や秋の長雨時期の高温多湿が大好きです。

4.夏の高温や乾燥環境では発生しません。

5.他の病気はハウス内や圃場で発生するだけで、生産者が農薬散布など適正な対策をとれば防げますが、ボトリチスは水あげする冷蔵庫内、輸送中、生け花中にも発生します。

出荷時にはきれいでも、花店、消費者の手に渡ってからかびが生えてくることもあります。



次のような対策をしてください。

1.ハウス内の除湿、乾燥。家庭でのエアコンが湿度を下げるように、ヒートポンプによる冷房は湿度を下げ、ボトの発生を抑えます。

2.換気、温風機による送風。

3.もちろんこまめな殺菌剤の散布。

4.5℃程度の冷蔵庫内でもボトは繁殖します。庫内のかべ、吹き出し口などをアルコールで消毒。

5.輸送中にケース内の湿度が高くならないように穴を追加する。この時期だけスリーブを使わない。

6.花に水滴が着いた状態で箱詰めしない。

7.花屋さんのキーパー、冷蔵庫にもボトリチス菌が蔓延しています。

8.店先ではおけに花を詰め込みすぎないように。