「ボト」は、かびの一種ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)を縮めた業界用語です。
病原菌がかびである「ボトリチス・シネレア」菌、病気の名前は「灰色かび病」です。
褐色に変色した花びらや葉から、症状が進むと灰色のかびが生えてきます。
それで灰色かび病と名付けられました。
生け花中に発生したバラのボト
生け花中に花首に発生したトルコギキョウのボト
入荷時にボトが発生していたカーネーション
葉にボトが発生したデルフィニウム
このボトリチス・シネレア菌による灰色かび病の特徴は次のとおりです。
1.あらゆる作物のやっかいな病気で、どの花も感染します。
2.食べ物が腐るときに生えてくるかびと同じ仲間です。
3.多湿、特に梅雨や秋の長雨時期の高温多湿が大好きです。
4.夏の高温や乾燥環境では発生しません。
5.他の病気はハウス内や圃場で発生するだけで、生産者が農薬散布など適正な対策をとれば防げますが、ボトリチスは水あげする冷蔵庫内、輸送中、生け花中にも発生します。
出荷時にはきれいでも、花店、消費者の手に渡ってからかびが生えてくることもあります。
次のような対策をしてください。
1.ハウス内の除湿、乾燥。家庭でのエアコンが湿度を下げるように、ヒートポンプによる冷房は湿度を下げ、ボトの発生を抑えます。
2.換気、温風機による送風。
3.もちろんこまめな殺菌剤の散布。
4.5℃程度の冷蔵庫内でもボトは繁殖します。庫内のかべ、吹き出し口などをアルコールで消毒。
5.輸送中にケース内の湿度が高くならないように穴を追加する。この時期だけスリーブを使わない。
6.花に水滴が着いた状態で箱詰めしない。
7.花屋さんのキーパー、冷蔵庫にもボトリチス菌が蔓延しています。
8.店先ではおけに花を詰め込みすぎないように。