2009年8月20日木曜日

花の消費拡大は選挙運動




花が売れない。

花をもっと買っていただくには。

花の消費拡大は、まさに選挙運動です。

消費拡大も選挙にも2つの方法があります(図参照)。

「イメージ選挙」と「どぶ板選挙」です。

統計では、切り花を買ったことがある世帯は4割(鉢物は3割)、買ったことがない世帯が6割(鉢物は7割)です。

花を買ったことがない6割の世帯に、花を買っていただければ一挙に消費が増えます。

この6割の世帯は選挙でいうところの無党派層です。

無党派層に投票していただくためには、イメージ選挙です。前回の郵政解散のように「風」を吹かせれば大きな票を獲得することができます。

しかし、風を吹かせることができなければ、「のれんに腕おし、ぬかに釘」になります。

「イベントで花束を配る」、「ポスターを作る」などはイメージ選挙です。


これまで、花産業はさんざんイメージ選挙で戦ってきました。

その結果はどうでしょうか。どれだけ票を獲得したでしょうか。

「皆無」です。「惨敗」です。

20年、イメージ選挙を戦っても花を買ったことがない世帯は、あいかわらず6割のままです。

そこで、6割の無党派層は手強いと総括できます。


それならば、6割の無党派層はとりあえずは相手にせず、すでに花を買っていただいている4割のお客さまにもっと花を買っていただく活動をしたほうが票は増えるのではないでしょうか。

この4割の方々は、昔からの花の固い支持者です。

さて、この固い支持者に確実に投票所に足を運んで、票を入れていただくためには何が必要でしょうか。1軒1軒路地裏をまわり、一人一人手を握り、名刺をわたす、名前、顔を覚えていただく・・・、どぶ板選挙です。


花業界は、支持者をつなぎ止めておく「どぶ板選挙」をわすれ、雲をつかむような、かっこいいだけの「イメージ選挙」にかまけていませんでしたか。


では、生産者にとっての「どぶ板選挙」とは何でしょうか。

4割の支持者に花を売っている花屋さんの要望を聞くことです。

いつ、どんな品質の、どんな花が欲しいかを聞き、それに基づいた生産をすることです。

また、自分たちに何ができるか、どんな商品を持っているかをお知らせすることです。

その前に、自分たちの支持者は誰か、あるいは自分たちは誰のために働きたいか(花を売りたいか)を決めることです。

国民全体に貢献する・・・、かっこいいけど不可能です。そのために多くの政党(産地)があるのです。


儲からなくなった花産業、抽象的で、ぼんやりしたイメージで選挙をする余裕などありません。すぐに儲けに結びつく具体的な選挙(営業)活動でなければなりません。

花屋さんと産地の仲立ちするのが市場の役割です。
生産者-市場-花屋さん連携による票の掘り起こしが急務です。


「イメージ選挙」は無駄か、そうではありません。

「どぶ板選挙」では当面はしのげても、いずれはじり貧です。


「イメージ選挙」については次回説明します。


2009年8月2日日曜日

(社)日本花き生産協会カーネーション部会星井栄仁会長の受賞と生産協の役割

授賞式での星井ご夫妻、マイクは発起人の岡内正明前カーネーション部会長





(社)日本花き生産協会カーネーション部会星井栄仁会長が黄綬褒章を受章されました。カーネーション生産100周年の年に、全国のカーネーション生産者の代表である星井会長が受賞されたことは、日本の花産業にとって、うれしい出来事です。これで、国産カーネーションの反転攻勢が勢いづきます。



喜びの一方で、(社)日本花き生産協会は花生産者の中央組織としての存在意義が問われています。協会は、都道府県の花き協会単位で加盟する、生産者にとって唯一の全国組織です。この協会から退会する県が出始め、すでに6県に及んでいます。

この状況を、岐阜大学の福井教授は、ご自身のホームページ(http://www1.gifu-u.ac.jp/~fukui/index.htm)で、「日本花き生産協会の危機」としてまとめられています。



福井教授は、協会が求心力を失った原因として・・・

①時代の変化に対応せず、右肩上がりの時代のやり方をズルズルと継続してきた。

②協会の役割である全国組織のメリットを的確に花き生産者に提供することを怠ってきたこと。

と述べられています。



さて、(社)日本花き生産協会7部会のひとつであるカーネーション部会が、全国の生産者に提供する具体的な役割は何でしょうか。


そのひとつは苗価格の問題です。カーネーション部会では、高い苗代とロイヤリティの支払いが経営を苦しめています。この問題を個人や産地で種苗会社と話し合っても取り合ってもらえません。

そこでカーネーション部会は、ヨーロッパの種苗業者から苗を直接、共同購入することを決断しました。1995年10月に、当時の大貫栄一会長を先頭に、役員さんがオランダ、ドイツの種苗会社6社を訪問し、苗の直接購入を交渉しました。交渉ごとに縁のない生産者が、欧州の海千山千の業者相手に交渉をつづけ、なんとかM.レック社と契約することができました。この交渉をサポートしたのが、カーネーション苗には縁がなかった草野産業でした。その後、M.レック社はバルブレ社に買収され、バルブレは日本のキリンに買収され・・・。弱肉強食の企業論理に翻弄はされましたが、生産者に安い苗を供給するという大きな成果をあげることができました。



ロイヤリティの問題は手つかずで残されています。カーネーションのロイヤリティは何が問題か?



①新品種育成者の権利保護は当然である。苗を買うときに、苗代とは別に、育成者にはロイヤリティ(現在は苗1株に8~10円)を払うことには両者、納得している(ロイヤリティの価格は別にして)。

②新品種を育成した権利が認められる前提は、種苗法に基づく「品種登録」の申請、および登録である。

③品種登録して権利が認められる期間は25年であるが、品種登録が失効した後もロイヤリティの支払いが求められている。

④品種登録をしていない品種でもロイヤリティの支払いが求められている。


③④は種苗法と種苗法の「品種改良により農業の発展をはかる」という理念に違反している。

この問題は、個々の生産者、産地では対応できない。まさしく、わが国のカーネーション生産者の中央組織である(社)日本花き生産協会カーネーション部会が、行政の援助を得て、種苗会社と話し合い、解決しなければならないテーマである。そのためには、全国のカーネーション生産者の(社)日本花き生産協会への結集が大前提です。


全国の花生産者のみなさま、汗をかかなければ果実を得ることはできません。