左:奈良県農業総合センター普及研修部 有馬 毅係長
右:同 研究開発部 仲 照史総括研究員
麦わら帽子にタオル、これぞ日本の技術者
お盆にキクがない、彼岸にもない。
毎年、似たようなことが繰り返されています。
それにもかかわらず、反省がみられない花業界。
①毎日毎日が勝負で、反省する余裕がない。すんだことは忘れて、また明日。
②平時よりも乱世を好む体質。勝った負けた、取った取られた・・・が、大好き。待ってましたの異常気象。業界みんながイキイキ。
③長い経験で、来年のことが見えている。来年は天候がよいうえに、生産者みんなが少しずつ植え付けを増やす。お盆にはキクがあふれる。「こんなにキク作ってどないするんや!」
④「ないない」と言われるときが華。
このような繰り返しで過ごせたのも、産地が国内だけの時代。
今や産地は世界に広がっています。
当てにならない国産より、納期を守る輸入品。
さて、いつものように来年のお天気に期待するのか?
小ギク生産者のみなさま、もう少し、花が咲く時期をコントロールしませんか。
技術はあるのですから。
露地(ろじ)の小ギク生産であっても電照は必要でしょう。
専門的な話になりますが、お盆のキクは、電照どんぴしゃの秋ギクではなく、夏秋(かしゅう)ギクです。
電照が効く品種と効かない品種があります。さらに、電照は、花芽分化(はなめぶんか)をさせないのではなく、遅らせるだけです。ですから、いつ電照を止めるかがミソです。
顕微鏡で花芽を観察して、電照打ち切り時期を決めます。その作業は、地元の技術者に助けてもらいましょう。
これだけ多くの花の技術者、研究者がいるのは、世界で日本だけです。
「露地の花はお天気任せ」は、もう通用しません。
産地のみなさま、
もう少し、
工夫をしませんか。