生産者の熱き想いを伝えるには、花屋さんに通じることばを
花屋さんとの勉強会に、ゲストとして生産者に参加していただいています。
産地の特徴や、生産者のこだわり、熱き想いを語っていただき、好評です。
しかし、花屋さん、特に女性従業員の方には、わからないことがあります。
生産者にとってはあたりまえの言葉が、花屋さんに通じていないのです。
勉強会は、まず、ゲストの挨拶からはじまります。
「しゅうのう2年目で、まだ勉強中です。」
しゅうのう=収納?
「就農」です。つまり、農業に就くこと、農業に就職したということですが、これが通じません。。農村では一般的なことばですが、広辞苑にもありません。「花作りをはじめて2年目です。」ですよね。
「温室2反、ろじ3反を経営しています。」
「路地」では、「雨の路地裏、法善寺~」、演歌の世界になります。農業の世界では、ろじ=露地です。ガラス温室やビニルハウスの施設栽培にたいして、覆いのないoutdoorで、農作物を作ることです。残念ながら言い換えはありません。花屋さんに施設栽培と露地栽培を理解していただきましょう(路地ではなく、露地です)。
また、若い花屋さんには、1反(たん)、10a(アール)、300坪(つぼ)という面積の単位もややこしいですね(1反=10a=300坪=1,000㎡で、同じ面積です)。反対に私は、ハウス1,500㎡といわれてもぴんときません。3.3㎡が1坪だから500坪弱か、と坪に換算しないと実感がわきません。市場の社員をも含めて、今の若い人はどんな単位を実感しているのでしょうか?当然、メートル法の㎡でしょうか(年寄りは「へーべ」と発音しますが、やはり平方メートルでしょうか)。
「みしょう2か月で花が咲きます」
未生? 未詳?
漢字で書くと「実生」です。「みばえ」とは読みません。「たねから芽が出て成長すること」です。「たねをまいて、2か月で花が咲きます。」
「6月にほじょうに定植をします」
「圃場」です。「圃」が当用漢字にないので「ほ場」と書きます。「田や畑」ですが、それではぴったりきません。農作物をつくる農地のことですが、圃場を知っていただくしかありません。
「定植」もわからない人がいます。「定食」のイメージが強いのでしょうか。「植え付け」です。
どの業界にも特殊な用語、いわゆる業界用語があります。
メジャーな業界、人気の業界では、業界用語が誰もがわかる、一般的な言葉になっています。
警察用語の、「ガイシャ(被害者)」、「デカ(刑事)」、「ホシ(犯人)」、マスコミ用語の「生(live)」、「ギャラ(報酬)」、「おす(時間が足りなくなる)」など・・。
花作りはメジャーな業界ではありません。お客さまである花屋さんに通じない言葉を使ったのでは、熱き想いを伝えることができません。
世間は広い。カルチャーショックを感じて下さい。カルチャーショックが勉強で、消費拡大の第一歩です。
しかし、世間にもっとも通じていな言葉は「花き」なのですが・・・。