2010年6月22日火曜日

生産者には、まずなすべきことがある、のでは?

                      ガーベラは品評会泣かせ






花屋さんの鮮度管理セミナーの講師をつとめさせていただくことがあります。

講演を終わっての質疑応答、きまってダリアとガーベラです。

ダリアの水あげが悪い、日持ちが短い、ガーベラの水が下がる・・・。

こんなにも花屋さんが苦労しているとは!

「巨大輪のダリアはもともと花壇の花で、切り花にすると日持ちが悪いのは仕方がないことです。日持ちだけが価値ではありません。」の説明で、なんとなく納得していただけます。それがダリアの勢い、時代の花だからでしょう。でも、いつまでもこれで通用するわけではありません。今の巨大輪、花色が陳腐化したときには、水あげ、日持ちの悪さがボディーブローのようにきいてくるでしょう。

一方、成熟したメジャー切り花であるガーベラに、今でも花屋さんが手こずっているのは、悲しいことです。


上の画像は、日本一の花の展覧会、東京池袋で毎年開かれる「関東東海花の展覧会」のガーベラです。これではガーベラは水あげが悪いので、買わないでくださいと宣伝しているようなものです。
花の産地では、つねに日持ちを検査しています。産地ではガーベラの水が下がる、日持ちが悪いなど夢にも考えていません。花屋さんの意見となぜ違うのでしょうか。
それは、日持ち検査の方法に原因があります。日持ち検査マニュアルでは、形質のよくそろった切り花を5~10本選び、定められた切り花長で切り戻し・・・となっています。
この過程で、カビがはえた花、茎が弱い花、花首があやしい花などははねられています。結局、多くの花の中から、品質のよい花だけが日持ち検査されているのです。このような切り花では、水が下がり、極端に日持ちが短いことは、まずありません。
花屋さんが問題にしているのは、購入した1ケース30本なり50本なりに、1本でもカビがはえていたり、水が上がらなかった花があれば、そのケースすべてがクレームの対象になります。
これが花屋さんと産地との認識の違いです。


さて、水の下がった花はどうするのか。
どんなマニュアル本にも水切り、湯あげ、焼く、割る、たたく・・・などの水あげ技術が紹介されていますが、こんなのは、鎌倉時代か室町時代の秘伝です。平成の大量流通商品(ガーベラは年間2億本近くが消費されています)が、お客さまにお願いすることではありません。

切り花用のハサミさえ、家庭にはないのですから。

漂白剤、洗剤・・・、裏技でもなんでもありません。おじさんの、小ねた、うんちくにすぎません。

消費拡大は、「秘伝から科学へ」です。

そして、ガーベラこそ、「産地から日持ち保証、品質保証」商品です。

収穫後の管理より、まず、水がさがらないガーベラ生産です。

「それがむつかしいから苦労しとるんや」
そのとおり。
まさに「産地力」、「業界力(キク業界、バラ業界、カーネーション業界、ユリ業界、ガーベラ業界・・・)」の競争です。

それぞれの地元には優秀な農業試験場があります。
国立地方大学農学部は、産地からの働きかけを待っています。ガーベラには静岡大学農学部があります。おなじように、マーガレットには、香川大学農学部があります。

優秀なドクターが研究室の扉を開けて、お待ちです。