今必要なことは1円の積み重ね
日本花き卸売市場協会の取扱高は、ピークの1998年には5,675億円あったのが、2009年には4,050億円にまで減ったそうです。つまり、10年で1,500億円も減ったことになります。
こう書くとなんだか人ごとみたいですが、150社それぞれの市場の売り上げが減り、8万戸それぞれの生産者の売り上げが減り、2.5万店それぞれの花屋さんの売り上げが減った結果がこの1,500億円です。1,500億円は、トヨタやソニーの売り上げに比べると小さな金額かもしれませんが、庶民にとっては気の遠くなるような数字です。
これを回復するにはどうしたらよいのでしょうか。花の消費を拡大しなければならない、そのために業界一丸となって、消費宣伝、ホームユース、日持ち保証、マーケティング、プロモーション、イベント・・・。
しかし、いきなり1,500億円が消えたわけではありません。生産者が市場へ出荷した花の単価が1円、2円安くなった積み重ねが1,500億円です。1,500億円は切り花、鉢花、苗ものなどの合計ですが、切り花だけと仮定してみましょう。この10年間に600億本の切り花が出荷され、1,500億円を減らしたわけですから、切り花1本あたりでは2.5円です。
切り花単価を、いきなり10円アップすることはむつかしいことですが、1円、2円なら簡単です。というよりも、この金額は本来稼げたはずのお金を、生産者自らが取りこぼしているお金です。つまり、かびをだした、ダニをつけた、選別が雑だった、輸送中の頭突き、出荷情報が遅い、着荷時間が遅い・・・、原因はいくらでもあります。うっかりミス、手抜き、横着・・・、上ばかり見て、足もとを見ていないのです。1万円札に気をとられ、1円玉が指の間からこぼれ落ちているのに気づいていないのです。
景気の回復、消費拡大、流通の改善、生産の構造転換・・・、個人の力だけではどうにもならないことを悩むよりも、自分の力、産地の責任でできることを、今すぐにしましょう。
それは、取りこぼしを減らして、単価の1円、2円のアップ、この積み重ねです。