季節は正直。
動きだすのは虫だけではありません。
春の足音は、かびのシーズン到来の合図です。
立春を過ぎると日差しが一挙に春めいてきます。
3月6日は、冬ごもりしていた虫が動きだすという啓蟄(けいちつ)。
動きだすのは虫だけではありません。
かびも動きだします。
かび=灰色かび病=ボトリチス=ボト、です。
1月、2月は太平洋側では晴天続きのからから天気。2月下旬は季節の変わり目。ぼちぼち雨の日が増えはじめ、湿気が増していきます。一雨ごとに春になる。
かびのシーズン到来です。
立春をすぎると自然界は春モードにスイッチが切り替わっています。
いつまでも冬のつもりでいるのは、自然の営みから遠く離れてしまった人間だけ。
上のグラフをごらんください。
棒グラフは日差しの強さ(日射量)。3月はじめの日差しは10月と同じです。
10月を思い出して下さい。暑かった夏が過ぎ、やっと涼しさが感じられるようになったのが10月です。
そのときの強い日差しと同じです。
体感的に冬のままなのは、折れ線グラフの平均気温にあります。
日差しは10月でも気温は12月下旬と同じ。人間は気温優先、植物は光優先。
人間にあわせて栽培管理をすると、植物は軟弱徒長になります。
軟弱な植物は病気にかかりやすい。これは人間も同じ。
生産者にとって恐ろしい病気は、土に病原菌が増殖し、植物を枯らす「立ち枯れ病」。
しかし、立ち枯れ病はハウス内部だけの病気で、花屋さんや消費者が目にすることはありません。
一方、灰色かび病はハウスで感染し、輸送中に増殖し、市場や花店で発病します。
灰色かび病は生産者が思っている以上に花産業に大きな被害をもたらしています。
温帯モンスーン地帯にある日本は、かび天国。
醤油、みそ、納豆・・・。かびの国、発酵の国です。
花の消費拡大の第一歩は灰色かび病に感染した花を出荷しないこと。経営改善の第一歩は灰色かび病の防除。
対策は、ハウス内の湿度低下。通風、乾燥。
温風機の送風だけでも効果があります。
次に、輸送中のむれ、結露を防ぎましょう。
冷蔵庫、選花場のかび汚染にも注意。
次に、輸送中のむれ、結露を防ぎましょう。
春の足音は、かびのシーズン到来の合図です。